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社団法人日本洋装協会技術セミナー

開催日 : 2008年7月6日(日)

場 所 : 織田学園

講 師 : 池田 泰子 氏 (大同経編株式会社 取締役 / 有限会社アイディラボ 取締役)

 

日本洋装協会は、オーダー仕立ての洋装店や洋裁教室を経営されている方で結成されており、
昭和22年発足の由緒ある協会です。
今回のセミナーは、定例開催されている「初夏の研修会」の講演として、この協会の常任理事をされている稲荷田先生を介し、
ファッションギルドに依頼していただきました。

依頼の趣旨として、協会員の方々は、ほとんどが布帛の洋服についてプロばかりですが、
布帛の洋服だけに目を向けているのではなく、新しい感覚・発想を参加されている皆さんに取り入れてもらいたい。
これからの時代、お客様に満足してもらうには、お客様に対して、いろいろな提案ができなければだめ、
布帛の洋服に限定せず、 新しいものをどんどん取り込んで、合わせて提案をしていけるような、
生き残る経営をしなければいけない。
そのため、異業種とのコラボレーションという観点で、ニットのお話をして欲しい、というものでした。

サブテーマに「センスあるお店経営のアドバイス」とあるのは、東京商工会議所に洋装協会セミナーの協賛をしていただいており、
「経営発展」に沿ったテーマにしなければならないという意向があるようで、今回の研修会も、「経営を発展させるため」という
趣旨に基づいています。 (商工会議所の方が1名同席されていました)

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では、ここから池田先生のセミナー内容です。
テーマは 「シチュエーションにあわせたニットの選び方」 「ニット製品の位置づけ」
最近の時代の流れはカジュアル趣向のせいもあり、様々なデザインのニット製品が世の中に出ています。
一昔前は、ニット=セーターというように考えられがちでしたが、若い方にとって以最近のニットの位置づけは、
以前とは変わってきています。

「最近のニット製品の特徴」
デザインが多様であること ニット地のみで出来ている製品だけではなく、 ニット+布帛など異素材コラボすることにより
デザイン性・シチュエーションが広がっている。
ニット=カジュアルの場だけとは限らなくなっている。

「池田先生は何故ニットが好きなのか?」
糸1本から作り上げられていくことに、魅力を感じるから。

「ニットの良さとは何か?」
・しわにならない。
・布帛よりも、窮屈感がないので、ほっとした気持ちで着ていられることができる。

「良いニットとか、着心地のよいニットとはどのようなものか?」
一番重要な点は、パターンが立体的であること。
立体的であるかどうかは着てみるとすぐにわかる 着心地の悪い例として、具体的にどのようになるかというと、
着た時に後ろに引っ張られる状態になり、その結果、首が苦しくなり、 「着心地が悪い」と感じる。
ニット業界の現状というのは、布帛の洋服の生産とは違い、 ニットパターンに対する技術評価が低く、
パターン代も、もらえないのが現状。
実際の技術現場の現状と、現実はまだまだギャップがあります。
最近のオーダーの傾向として、お客様の要望の中に、布帛素材とニット素材を組み合わせて洋服を作ってほしい。
などリクエストがあるようです。

(当日の参加者より質問)
・ニット地の縫い方
・糸の選び方 などの質問がありました。
やはり布帛のプロでもニットの縫製となると、苦戦しているようです。

(途中の質問)
池田先生の話の中で「インターシャー」「リンキング」など、 ニットの生産特有の言葉があり、意味の質問が出ました。
現物を見たことない方にとって、理解するには少々難しかったようです。
池田先生が持って行った、サンプルのニットワンピースを見せながら説明。
(ワンピースをボディーに着せて・・・)
脇の落ち感について。減らし目の説明をしながら、 なぜ、綺麗にこのように落ちるかを説明。(皆なるほどと納得した感)
布帛とニットの組み合わせのサンプルについて、縫製方法を説明。
その後、池田先生の当日着ていた、ショールになるはおり物など、 サンプル数点を皆さんに回覧。
冷房で寒い電車などでとっても便利ですよ!! (→皆さんすごく納得!)
サンプルが回りだすと、実際に見るだけでなく、着てみる人、メジャーで計りだす人など、
近隣数人で商品を前に座談会が始まってしまいました…

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(その後の質問)
・東京コレクションでは (福島ノリコさんとのコラボ) どのようなものを作成されたのですか?
18ゲージで12色のストライブを編み、やわらかい質感とドレープ性を生かした、フレアーパンツ、スカート、タンクトップ等を
作成しました。 18ゲージはとても編み目が細かく、多色使いが難しいので、当初工場には出来ないと言われましたが、
試行錯誤を重ねてもらい素敵なニットに仕上がりました。

・自分自身はフォーマルな場で、ニットを着るのに抵抗がまだあるが、世間一般ではどうなのか?
海外のブランドでは100万円を超すドレスなどが有り、パーティーにも多く着られています。
素敵なジャージ生地もたくさんあるため、これからは、立体パターンで製作されると、着やすく、しわになりにくい、
洋服が出来ることでしょう。
旅行着や、旅行先でのパーティドレスとして最適だと思います。 などなど…

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(スタッフ中村の感想)
やはり個人のオーダー屋さんとなると職人の世界。
ある意味自分の技術外のものを取り入れる、柔軟性がいったいあるのだろうか…?と思いながら聞いていましたが、
皆さん上手に自分に関連する内容だけ取り入れようとされていました。
しかし、共通して言えるのは、ニットは自分の分野とは別、作るものではなく「買うもの」という意識を感じました。
また、作りたくても躊躇するという部分が先にたっているようです。
布帛のプロであっても、なかなか挑戦しにくい領域であるのだな~ということをとても感じました。
今回のセミナーを見ていて、このような技術者 (ある意味完成されてしまったプロ) の方には耳から入る技術論よりも、
視覚から入る技術論 (例えば、工場見学や今回少し取り入れたようなサンプル解説会など) の方が、
あっているのかもしれないと思いました。
少々、パワーポイントのタイトルとお話の内容が一致していないところもありましたが、雰囲気はとても良かったと思います。
(参加者の方々には満足して帰っていただけたように感じました)